2026.04.10

チラシデザイン制作の流れ|ラフから完成までのプロセスと裏側を公開

最近ありがたいことに、チラシやパンフレットのご相談をいただく機会が増えてきました。その中で改めて感じたのが、チラシデザインの制作の流れや裏側って、あまりシェアされる機会がないということ。
そのためか、実際のご相談の中でも、こんな疑問をいただくことがあります。

• どのくらい情報がまとまっていれば依頼できるの?
• 実際、どんなプロセスでデザインは進んでいくの?
• プロに頼むと、どんな仕上がりになるの?

今回はそんな疑問にお答えするべく、 実際の案件をもとに、ラフ → 初稿 → 修正 → 完成までのプロセスをまとめました。

まずは完成形をご覧ください

今回制作プロセスをご紹介するチラシの完成形がこちらです。

チラシデザインをご依頼いただいた株式会社HataLuck and Person(ハタラック アンド パーソン)様は、 サービス業に特化した店舗運営DXアプリ「はたLuck」の開発・販売をされている企業様で、 今回のチラシは、そのアプリに搭載されたAIサービスの紹介を目的としたものでした。(今回本記事での制作プロセスの公開についても、快くご了承いただいております)

原稿準備:情報はどんな状態で渡せばいい?

チラシデザインをご依頼いただいた際、お客様からよくいただくご質問のひとつが、「情報はどんな状態で渡せばいいですか?」というものです。結論からいうと、チラシに載せたい情報のボリュームさえ分かれば、フォーマットは問いません。(Word・Figma・XD・手書きでもOKです)

ただし、2ページ以上の資料やToB向けの場合は、「構成から一緒に考えるか」「ある程度整理された状態でお受けするか」で、お見積りや進め方が変わります。ToC向けのサービスや商材の場合は、比較的内容がイメージしやすいため、こちらで情報整理からお手伝いすることも多いのですが、ToBの場合はサービス理解や情報整理に時間がかかるため、まずはお客様側で情報をまとめていただくことをお願いするケースが多いです。

今回の案件では、お客様の方であらかじめ構成を整理いただいた状態でご依頼いただきました。 下記が実際にご準備いただいたラフです。

この「構成ラフ」があることで、

• 何を一番伝えたいか
• どこを目立たせたいか

といった“優先順位”が見えてきます。細かいニュアンスについては、お打ち合わせの中で一緒にすり合わせをさせていただきました。

デザインの方向性確認

実際の制作に入る前に、いただいた情報や構成をもとに、デザインの方向性をすり合わせていきます。デザインを進めるにあたって、チラシに載せる情報以外にも、以下の点についてヒアリングをさせていただきます。

・誰に届けたいか(ターゲット)
・どんな目的か(集客/新規・既存顧客への説明など)
・どこで使うか(展示会・営業・ポスティングなど)
・デザインの方向性や見た目のご要望

こうした要素を整理しながら、「なぜ・誰に・なんのために」作るのかを明確にし、チラシ全体の方向性を固めていきます。

今回のご要望

今回の案件において、事前に頂いていたデザインの方向性におけるご要望はざっくり以下の2点でした。

片面に全て収めたい
ToBを意識した信頼感
トンマナや色味は既存サイトを参考にしても良いが、縛られる必要はない

本来であれば、ここからさらに細かく方向性を詰めていくのですが、今回は直近でも会社案内パンフレットのデザインをご依頼いただいていたお客様ということもあり、「ToBらしい信頼感」といった抽象度の高いニュアンスについても、ある程度認識を共有した状態からスタートすることができました。

以前ご依頼いただいたパンフレットのデザイン

一方で、このようなデザインの方向性について、 より丁寧なすり合わせが必要と判断した場合には、 Pinterestなどで参考となるデザインをいくつかピックアップし、トンマナの方向性を事前に確認させていただくこともあります。

デザインラフの作成と構成の再検討

実際にデザインに入る前に、お客様よりご提供いただいた構成が本当に片面に収まるのかを再度私の方でも検討させていただきました。

というのも、チラシに掲載したい情報量がかなり多かったため念のため両面案も作成し、ご提案させていただきました。

情報をざっくり落とし込み、構成を検討

ただこちらご提案させていただいたところ、お客さまの中で、「図はあくまでも補足的に使いたい」とのこと。デザイナーとしては目立たせたいと思った要素でも、お客様にとっては優先度が低い場合があります。この段階で、改めて情報の優先順位をすり合わせていきます。

また今回「片面に収めたい」という背景には、“そもそもそんなに読まれない”という前提があったのではないかと感じました。展示会や配布物は、じっくり読まれる前提ではありません。だからこそ、「パッと1枚で伝わること」が重要になります。

デザイン着手~初稿の提示

今回のチラシは、かなり情報量の多い内容でした。
ざっと情報の種類を分けると、

キャッチコピー
商品名
商品イメージ
価格
課題
原因
仕組み図
感情訴求
問い合わせ

といった複数の要素があり、これらをA4サイズ1枚の中に整理し配置する必要がありました。単純に要素を並べるのではなく、「どの順番で見せるか」「どこを一番目立たせるか」を考えながら、 ひとつひとつ丁寧に組み立てていきました。

初稿のデザイン

こちらが初稿としてご提案したデザインです。ブルーを基調に、アクセントとして黄色を使用し、情報の整理と視認性の高さを重視した構成にしています。具体的には、

メインタイトルを一番目立たせ、「誰に向けたサービスか」を明確に
課題部分はチェックリスト形式にして、自分ごと化しやすく
「原因 → 解決」の流れを視覚的に整理し、理解のハードルを下げる
悩んでいる人物のイラストを配置し、課題への共感を促す

といった点を意識しています。とにかくこの段階では、「情報をいかに分かりやすく整理するか」に重点を置いていました。

お客様からのフィードバック

初稿に対して、お客様からいただいたフィードバックがこちらです。

・少し暗く感じる
・未来への希望や明るさを出したい
・全体的にクールすぎる

このフィードバックを見たとき、正直ハッとしました。というのも、
情報整理にはかなり意識を向けていたものの、肝心の「どんな印象を持ってもらいたいか」という部分が、弱くなっていたためです。チラシの目的は、単に情報を伝えることではなく、”手に取った人にどんな感情を持ってもらうか”も非常に重要です。

今回であれば、
「なんとなく不安」
→「これなら解決できそう」
→「少し前向きになれる」

といった、”ポジティブな変化を感じてもらうこと”が本来のゴールでした。しかし初稿では、 悩みの表現や色味のトーンによって、どちらかというと“課題の重さ”が強く出てしまっていたのです。

また、このタイミングで改めて感じたのが、”初稿を出すことで初めて見えてくるものがある”ということです。お客様自身も言語化しきれていなかった「違和感」や「理想の方向性」が、このフィードバックを通して明確になった気がしました。

デザインの再調整・修正案

いただいたフィードバックをもとに、「明るさ・希望感・前向きさ」をどうデザインに落とし込むかを考え、以下のように調整を行いました。

  • 色味:青に少し赤みを加え、冷たさを和らげて温かみのあるトーンに

  • 背景:右上に抜けるグラデーションで、“未来に向かっていく”印象を付与

  • タイトル:白抜き+背景のコントラストを強め、明るく軽やかな印象に

  • ビジュアル:悩んでいる人物 → ターゲットとなる責任者像へ変更

  • 構成:上下で背景を切り替え、情報の流れとメリハリを明確に

特に大きかったのは、「悩みを見せるデザイン」から「解決に向かうデザイン」への転換です。初稿では課題にフォーカスしていましたが、修正案では「その先の未来」に目が向くようにデザインし直しました。結果として、 同じ内容でも受け取る印象が大きく変わるデザインへと改善することができたと思います。

この方向性でお客様にもご納得いただき、細かな調整を重ねて完成となりました。

デザインはお客様との二人三脚

これは、これまでデザイナーとして仕事を続けてきた中で何度も実感してきたことですが(チラシデザインに限らず)、 デザインをより良いものにしていくためには、お客様の協力や積極的な参加が欠かせないと感じています。

その理由として一番大きいのは、 事業やサービスのことを一番深く理解しているのは、お客様ご自身だからです。デザイナーは「どう見せるか」「どう伝えるか」をデザインする責任がありますが、 そのベースとなる情報や意図は、お客様の中にあります。だからこそ、デザイナーが一方的に作るのではなく、 お客様と一緒に壁打ちをしながら、 「何をどう伝えるべきか」をすり合わせていくことが重要だと考えています。

実際に、今回のようにやり取りを重ねていく中で、 少しずつ方向性が磨かれ、デザインの完成度が高まっていくケースはとても多いです。改めて“良いデザイン”は、決してデザイナーひとりで完結するものではなく、 お客様と二人三脚で作り上げていくものだと実感しました。

最後に

この記事を通して、たった1枚のチラシにも、これだけ多くの思考や試行錯誤が積み重なっていることを、少しでも垣間見ていただけたら嬉しく思います。また今後チラシやパンフレットの制作を検討されている方にとって、 「どんな流れで進むのか」を知るきっかけになれば幸いです!長文にお付き合いいただきありがとうございました!